急ぐ理由は、
いつも分かりやすい。

遅れたくない。
置いていかれたくない。
間違えたくない。

理由があるから、
人は走る。


けれど、
走り続けた先で、
残るものが増えるとは限らない。

速さが積み重ねたのは、
成果ではなく、
判断の癖だったりする。


急がなくても、
壊れないものがある。

すぐに決めなくても、
失われない関係がある。

いま選ばなくても、
消えない道がある。


急がないという選択は、
止まることではない。

進まないことでもない。

距離を保つことに近い。


距離があると、
見え方が変わる。

選ばなくていいものが、
はっきりする。

残るものが、
静かに浮かび上がる。


それでも、
急がなくていい。

この言葉は、
励ましではない。

許可でもない。


ただ、
すでにそうなっている人が
確かにいる、
という事実を
置いているだけだ。